2022年春アニメ個人的総決算 後編
どうも、ルビジウムと申す者です。2022年春アニメも一通り放送が終了したのでいつもの感じで個人的な感想・評価を述べていきたいと思います。
前編からの続きと言うことでこの記事では評価A~Sの作品について書いていきます。前編の記事のリンクは以下に貼っておきます。
ここからはネタバレ等もあるので注意してください。(22年春クール以降に続く作品に関しては22年冬クール時点での暫定評価です)
A(80~89点)
SPY×FAMILY(分割第1クール)
制作陣もめちゃくちゃ力を入れて、宣伝という面でもめちゃくちゃ力が入っていた割にはそこまでめちゃくちゃ面白いって訳でもなかった作品って感じです。いや、面白くないとは思ってないですよ。
主人公でスパイのロイド・フォージャーはとあるミッションのために偽の一家を形成する必要が生じて妻役のヨル・フォージャー、娘役のアーニャ・フォージャーに素顔を隠しながらミッションをこなしていく様子が描かれる作品です。
ただこの一家、ヨルは殺し屋稼業を裏の顔で持っており、アーニャは超能力者で他者の心が読めるということもあり、お互いにそのことを悟られないようにしながら自分の利害のために普通の一家を演じているというのが設定として面白い要素だと思います。
特にアーニャは心が読めるということもあり、ロイドとヨルの裏の顔について知っているのですが、現在の生活を壊さないように言動に気をつけているのが可愛い部分だと思います。
設定的な面ではすごく面白そうな感じがありますが、第1クールは導入的な側面も強く日常回的なエピソードも多かったので話の大筋として大きな動きが少なかったのが今一つ盛り上がりに欠けたかなとは思っています。
ありとあらゆる要素が80点っていう評価が現状ですが第2クールでの巻き返しに期待って感じです。
ヒロインたるもの! ~嫌われヒロインと内緒のお仕事~
高校生2人組アイドル「LIP×LIP」の染谷勇次郎と柴崎愛蔵とクラスメイトになった主人公の涼海ひよりがひょんなことから2人のマネージャー見習いとしてアルバイトをすることになるという話です。
ひよりは最初はアイドルには興味はなく生活のためのアルバイトであったものの、2人のアイドルとしての在り方等を見てアイドルについて理解をしていきます。また、LIP×LIPの2人もひよりのひたむきな姿から何かを感じ取り、自分たちのアイドル活動をより良い物へとしていきます。こうしたひよりとLIP×LIPの2人がお互いにお互いを支え合う存在になっていく過程が描かれていきます。
個人的にはハニワ作品ってあんまり好きじゃないんですけど、そういうの関係なしにシンプルに男性アイドル物としての面白さがあって良かったです。LIP×LIPの2人のことを視聴者が好きになるような構成なのがやっぱり良かったですね。日常回の使い方とか、ひよりが困ってる時に助けの手を差し伸べてくれるのとか、何よりも楽曲の使い方とかめちゃくちゃ上手かったです。
古見さんは、コミュ症です。(2期)
普通に2期になって別次元に面白くなった作品でした。
異常なまでにコミュ障の古見さんとホントにごく普通な主人公の只野くん、そして個性豊かなクラスメイト達による学園コメディ作品です。
2期からは片居くんを始め新キャラも多数登場し、より一層盛り上がりましたね。OPの青100色がいかにも青春って感じの曲なのを良いことに只野くんと片居くんの絡みのタイミングでOP流して、腐向けっぽくしてくるのとか完全にOPで遊んでました。
1期と比べてナレーションや文字による補足説明的な部分も気にならない程度になっていた気がして、純粋にアニメーションとして楽しめました。やっぱりアニメの醍醐味は映像で視聴者に状況を理解させるためにどんな工夫をするかっていうところですからね。
学園コメディですが、変に青春って感じを強調したオシャレな感じの笑いではなく、普通に全力で笑わせに来るギャグが多くてシンプルに面白かったです。
処刑少女の生きる道
最終回まで作画崩壊しないかめちゃくちゃ不安になりながら視聴していた作品でした。制作があのJ.C.STAFFなので。
日本から定期的に人が召喚されてくる異世界が舞台で、日本人は純粋概念という能力を持ちやがては世界に厄災をもたらす存在へとなるという世界観です。
物語は表の顔は神官で裏の顔は召喚された日本人を秘密裏に殺す殺し屋であるメノウと日本から召喚され、時の純粋概念を持つアカリが出会うところから始まります。メノウはいつもと同じようにアカリを殺そうとしますがアカリの純粋概念によってアカリの死がなかったことになりメノウはアカリの殺害に失敗します。アカリは自分の身に何が起こったか気づいていなかったことからメノウはアカリと共に旅をしながらアカリを殺すことのできる手段を探すという内容です。
単純に設定が面白い感じなのと、時の純粋概念によってタイムリープしているアカリが存在してることで物語が単調ではないのもポイントが高かったです。加えてモモやアーシュナ姫などのサブキャラもしっかりとキャラ付けされていてメノウとアカリ以外のキャラの関係性にも注目して楽しめました。何よりもアカリを殺さなければいけないと言いつつ共に旅をするうちに情が移るのではないかと心配しているモモがスゴい良かったです。こういった点から関係性のオタクが好きそうな作品だったな〜と思います。
危惧してた作画に関しては終盤怪しい回がいくつかありましたが最終回はしっかりと盛り返していたので概ね合格と見ていいと思います。
恋は世界征服のあとで
ラブコメってこういうのでいいんだよってずっと言ってました。
戦隊ヒーローのリーダーの主人公の相川不動と悪の秘密結社の幹部のヒロインの禍原デス美の組織の壁を越えた恋愛模様を描いたラブコメ作品です。設定としては結構ありふれた感じではありますが、昨今のラブコメは妙な変化球投げてきがちなのでホントにこういうのでいいんだよってめちゃくちゃ唸ってました。
戦隊ヒーローと悪の秘密結社として戦場では敵同士を演じつつ、周りに付き合っていることがバレないように色々と格闘する2人の様子を見てるだけで楽しい作品でした。
加えて、不動の仲間の戦隊ヒーロー達やデス美の同僚の怪人たちなど他のキャラの存在が上手いこと噛み合っていて会話とかのテンポも良かったと思います。
ストーリー仕立ての作品ではないので中盤くらいから若干飽きそうになりますが、そうなりそうな時に不動やデス美以外のキャラとの絡みを入れてくるのが構成としても良くできていると感じました。ホントにラブコメってこういうのでいいんだよ。
勇者、辞めます
魔王軍を単独で倒して、その強大な力を人類に恐れられた勇者の主人公・レオが今度は敵であった魔王軍に仕事を求めて魔王軍の主幹部の面々と共に働くという話です。
序盤、中盤はレオが魔王軍に入って四天王の面々と共に戦後の被害でボロボロの魔王軍を建て直していくという内容の日常アニメに近いような感じで展開されていきます。
終盤はレオが魔王軍に入った本当の目的がレオの回想とともに明らかになり、魔王・エキドナと四天王の面々と全ての決着をつけるべく戦うという感じでした。
序中盤はまぁそれなりに面白いかなぐらいの感覚で見ていたんですけど、終盤に差し掛かり、レオの過去が明らかになってきた辺りから一気に加速していきましたね。最終的にレオもエキドナも四天王の面々も物語の中でそれぞれが1つの答えを得るという形になっていたのがとても好感触でした。作品としてしっかりと結論を出して締めるっていうのは原作が存在する作品のアニメ化だと尚更難しいですが、それをしっかりと実行してくれる作品は間違いなく名作になりますね。文句なしでこの位置の評価にしてます。
サマータイムレンダ(第1クール)
和歌山県の離島を舞台としたSFサスペンス物作品です。主人公の網代慎平は幼馴染の小舟潮が事故で亡くなったと聞き、葬儀に参列するために生まれ育った故郷の日都ヶ島に戻ってくるところから本編が始まります。しかし、潮の死に関しては不可解な点があり、調査を続けていく内に日都ヶ島に伝わる「影」という存在の伝承に辿り着きます。影は実在するのではと考えた慎平ですが、潮の妹の小舟澪の影にオリジナルの澪と自身を殺害されてしまいます。その刹那、慎平の意識は日都ヶ島に上陸する直前の船の上の時間にまで戻り、意識だけ過去に戻ります。その後慎平は澪の殺害を防ぎ、潮の死の真相と影の目的を暴くために本格的に調査とタイムリープを繰り返していきます。
大筋の内容は基本的には説明しましたが、まだ半分しか放送してないこともあり、明らかになってない部分や回収されていない伏線もあるため、正直多くの視聴者が現状は内容の理解に努めながら頑張ってついていってるという感じだと思います。タイムリープ物でもあるため、過去の周回の影響等の話とかをしっかりと整理する必要があり、結構複雑になってきています。
とはいえ、明らかに設定や構成が練られていて面白い作品という感じなので現状は高評価という感じです。
あと、意外と慎平とヒロインたちの恋愛模様というのも気になる感じになってるのでそういう側面もあるのはより高得点かなと思います。
デリシャスパーティプリキュア(第1・2クール)
東映がサイバー攻撃を受けた影響で放送話数がシンプルに減ってしまったので第1・2クールまとめての感想です。ちなみにプリキュアシリーズは不足の事態が起きて放送話数を減らさなくてはならなくなった時のために削ってもいいエピソードというものが予め用意されてるらしいです。(ここ数年はコロナ等の影響でマトモにフルで放送された年はないっぽいみたいです。)
今年のプリキュアのテーマは食べ物ということで食べ物関連のエピソードが中心となってます。加えて、ここ数年はいなかったプリキュアのサポートをしてくれる男性キャラが数人登場するのも久しぶり感あって良い感じですね。あと敵の女の子幹部が味方になって追加メンバーのプリキュアになるパターンも久しぶりな気がします。
細かい仕様とかは確かに毎年変わりますけど基本やってることは変わらないのがプリキュアシリーズの良さでもあるとおもってます。メインターゲット層はあくまでも女児の皆様方なのでその層が飽きないような工夫を考えるとおよそ3~4年程度で同じようなテーマ・構成・雰囲気の作品が出てくるのはシリーズとしての性なのではないかと考えてます。
ちなみにクオリティが絶対的に担保されていることから、この感想記事において各作品相対評価の部分に関してはプリキュアを85点として他の作品を判断してるところもあるので基本85点から大きく動くことはないです。
クラシックバレエがテーマの作品で主人公が男というだけあってもう見るからに面白そうな作品でしたが予想以上の作品でした。
主人公の松尾潤平は幼い頃に見たクラシックバレエに憧れを抱いていたものの、父親の死を機に男らしくあろうと思い、ジークンドーを習っていました。ただひょんなことから転校生の五代都に連れられる形で彼女の母親のバレエスタジオに通うことになり、本格的にバレエを習うことを決心します。
また中盤以降は五代家で同居している森流鶯という都の従兄弟も登場し、潤平とお互いの存在を意識し合いながらバレエに取り組んでいくという内容です。
男でバレエというと世間的には珍しく、作中でも男なのにという理由で流鶯に関してイジメ紛いのやり取りがされていたり、流鶯についての虐待にも近いととれる祖母による過酷なバレエのレッスンの様子などがかなり生々しく描かれているので苦手な人は一定数いると思いますが、そういった人間の醜い部分にあえて蓋をせずに描いている部分にこそこの作品の面白さがあると思ってます。
また、バレエのシーンも迫力があり、潤平や流鶯の演技に他のキャラにはない凄みがあると感じさせる演出がなされています。
都との恋愛模様を巡って潤平と流鶯でギクシャクしたりしますが、流鶯の精神的な都への依存とも言えるような関係性から最終的に潤平が身を引くのは展開としてスゴいと思いましたね。最初に潤平がバレエをやると決心した時に言われた「バレエ以外の全てを捨てる覚悟はあるか?」という問いにこういった形で示して来るのはマジで鳥肌立ちました。
デ〇〇ニー+限定配信だったのがあまりにも惜しい作品でした。本当にこの企業を早くなんとかしろ。
BIRDIE WING -Golf Girl's Story-(分割第1クール)
今期1番のダークホース枠でした。
ゴルフがテーマということで結構とっつきにくかったり、テンポ感が微妙になったりすることを予感していましたが、主人公のイヴが「直撃のブルー・バレット」を放った瞬間にそういった心配は全て吹き飛びました。完全にテニプリとか咲の類いですこれ。
前半はスラム街で生活の為に賭けゴルフを行っているイブと日本の天才女子高生ゴルファーの天鷲葵が出会うといった内容です。前半部ではイヴは裏社会から足を洗うために最後の賭けゴルフをし、それに勝利したことで日本にいる葵のもとに再戦をするために渡航します。
後半はイヴが葵の高校に編入し、ゴルフ部のダブルスのペアを結成して日本の全国大会に出場するという内容です。
ホントにやってることが全部スゴくて、テニプリや咲に負けずとも劣らない超常現象ゴルフバトルが繰り広げられます。イヴの弾丸シリーズやらローズの義手だったりは序ノ口で日本編からは五感の一部を遮断して集中力を高めるとか出てきてたので第2クールではさらにヤバい能力持ちが登場することが期待されます。
ホントにやってること全てが異常すぎてめちゃくちゃ楽しいアニメなのでゴルフのルールとか全く知らなくてもテンポ良く見られる名作だと思います。第2クールでのさらなる異常要素にも期待です。
であいもん
娘にしたいアニメキャラクターランキング堂々の1位の座を獲得した雪平一果たむが登場する素晴らしい作品です。
和菓子屋「緑松」の一人息子の主人公・納野和は東京でバンド活動をしていたが、バンドの解散と父の入院を機に店を継ぐ決意をして10年ぶりに実家に戻ります。ですが、和が不在の間に店では一果が看板娘として働いており、一果から和は敵視されてしまうところから物語は始まります。
和菓子がテーマの作品ですが、あくまでも主役は登場するキャラクター達の紡ぐ物語であり、和菓子はあくまでもそれを彩る脇役に徹しているというスタンスを感じました。緑松の和菓子が長い年月の中で多くの人の思い出や記憶に刻まれており、和菓子をを食べるとそのときのことを思い出すというような部分を作品全体を通して体現しているのが一貫性があって素晴らしいと思いました。季節感という側面においても和菓子のもつ特性を最大限に活かしつつ、演出に組み込んでいるのでその点も好印象です。
日常物アニメの究極に近いような作品で、作品全体のテーマや雰囲気を常に壊さないように考えられた構成となっているのは制作スタッフの努力の賜ではないかと思いました。個人的な好みでいえば2022年春アニメで1番好きな作品でした。
S(90点~)
孔明の安心感があまりにもありすぎる作品。
現世に転生した諸葛孔明がシンガーソングライターの英子の歌に心揺さぶられ、彼女の夢の実現のために彼女の軍師として様々な活躍をするという話です。
序盤の孔明と英子の出会いの部分は孔明の偉業から考えるとめちゃくちゃくだらないようなことを大真面目に孔明がやってることによるシュールさによる面白さがあったと思います。
中盤は英子と志を共にする仲間探しということでKABE太人が登場し、彼に関する内容が多くなっていきました。KABEを引き込むために孔明が様々な手を実は回していたということが後々明らかになってくるのも良い感じでした。
終盤は英子の越えるべき壁とも言える存在、AZALEAの登場により英子とAZALEAのリーダー久遠七海との絡みとかが深く描かれました。この辺は孔明の活躍は表に目立った部分は少ないですが、もう1人の主役である英子の成長を感じ取れる内容でした。
全編通して言えることは表の中心人物は移り変わっていてもあくまでも主役は孔明だっていうところですね。孔明がかつて劉備と共に目指した民草が平和に暮らすことのできる太平の世に限りなく近い現代の日本にて、第2の人生を楽しんでいるというのがホントに趣深いんですよね。たまに入る孔明の回想で涙が出そうになります。
テーマ的に音楽にも力が入っていてわざわざ英子と七海の歌唱は声優とは別で歌専門で担当をつけてるくらいですからここの拘りはかなりあると思います。音楽でテンションをしっかり上げてくれるので視聴者側も実際に会場にいるような雰囲気を味わえるのも良い感じでした。
本渡楓さんがメインキャラの作品に外れなしの法則をより強めた例となった作品でした。
かぐや様は告らせたい -ウルトラロマンティック-(3期)
もう今更解説するまでもない王です。
正直、3期序盤はもうこのノリそろそろ飽きてきたよ〜感も感じてました。ただ、文化祭編で各キャラの思惑が交錯する中最終的に全てが繋がって白銀会長からかぐや様へのあの粋な演出に繋がっていったのはホントに満点って感じでした。もうこれ以上ないってレベルでしたねアレは。
これまでは最終話にやりたいことやるだけやってハチャメチャにして終わるみたいなところありましたが、白銀会長とかぐや様の関係に進展があって締めるっていうので大真面目な感じで終わったのでシリーズとしても一通り決着をつけたという感じだと思ってます。(まだ映像化続くらしいっていうのでえ?ってなりましたけどね。)
誰が見ても楽しめるという側面でいくと最上位に来る作品だなというのがやはり高評価になるポイントでしたね。自分も非常に満足しています。
というわけでここまでが2022年春アニメのA~S評価の作品でした。予想よりも後半組に残った作品が少ない上に、残ってる作品も似たような他の作品が失速したので相対的にAだけど…みたいな作品もあったりなかったりするので、なんとも言えない感じはあったりします。プリキュアより面白い作品が何作あるかな~みたいなところで各クール豊作か不作かを判断してる部分も少なからずありますからね。
2022年夏アニメも一通り放送が始まりつつありますがそちらの方もしっかりと実況しながら追っていきたいと思います。あと見るつもりだったのにまだ全く見てないシャドウバースFは手遅れにならないうちに1話から見ていこうと思います。