rubidium-37’s blog

やりたいことしかやらん

2021年春アニメ(個人的)総決算 後編

どうも、ルビジウムと申す者です。2021年春アニメが一通り終わりましたので、いつものことながら、総決算と題して個人的な感想・評価を述べていこうかなと思います。

 

2021年春クール分から半分に分けることにし、前回の記事では前編として評価E~Bの作品について書きました。前編で早く出すつもりと言ったのにも関わらず、1ヶ月程空いてしまいましたが、今回は後編ということで、評価A~Sの作品について書いていきます。前編を未読の方は以下のリンクから読んでもらえると嬉しいです。

rubidium-37.hatenablog.com

 

ここからはネタバレ等もあるので注意してください。(21年夏クール以降に続く作品に関しては21年春クール時点での暫定評価です)

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A(80~89点)

転生したらスライムだった件 転スラ日記

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 転スラ2期のお休み期間のこのクールでの放送でした。火曜日はアニメが少ない(少なすぎる)ので唯一のオアシス感ありましたね。最初は本編との作画の微妙な違いであったり、転スラである意義が少ない日常パートばかりの印象で少々心象的には微妙感ありましたが、リムルたちの1年の暮らしという大テーマが見えてきたあたりから良い感じになってきましたね。夏祭り回とか良かったですよね。ミリム出てきた辺りからリムルがツッコミ役になってくるのが飽きさせない構成でバランスが考えられていたって感じです。あと、音楽が充実していて良曲揃いなのもポイント高いですね。ED曲のバリエーションがここまであるのはお金があるってことなんでしょうね。めちゃくちゃ人気コンテンツなんだな~って再認識させられました。本編の間ってことで作画の違いに慣れづらいのはありますがそこはしょうがない要素ということで。

 

ましろのおと

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 津軽三味線をテーマにした作品。基本的にメインの登場人物の多くがベクトルは違えど性格に難ありな作品です。主人公・澤村雪は知る人ぞ知る津軽三味線奏者にして、一部からは名人とも称される澤村松吾郎を祖父に、大手ビューティー業界企業の社長である澤村梅子を母に持ち、自身も人並み外れた津軽三味線の才能を持っています。雪は他人と競うことに興味が無い性格で気分屋といった感じですが、高校にてヒロイン・前田朱利ら津軽三味線同好会のメンバーと出会い、大会を目指すことで少しずつ変わっていくといったストーリーです。松吾郎の才が世に出なかったことを惜しんでいる梅子に松吾郎の音で演奏するよう言われるのと、仲間や周りの人たちから自分自身の音で表現してほしいと言われる2つの間で雪が葛藤しながら成長をしていくのが王道にして面白い展開でした。ラスト、大会で満足のいく結果を残せず、悔しさから雪が塞ぎ込んでしまい、学校にも行かなくなるものの、周りの人は雪が戻ってくるのを信じて待つ的な終わりなのですが、こればっかりはちょっとモヤッとした終わりでしたね。この作品らしい終わり方ではあるんですけど、この後どうなったの?ってめちゃくちゃ気になる終わり方だったのでそこは少し気になっちゃったかなという感じです。それ以外の部分は文句のつけようのない出来でした。

 

バクテン!!

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 高校の男子新体操部をテーマにした作品。ここ最近、マイナースポーツをテーマにした作品多いですよね。新しい分野に開拓が進んでいくのはすごく良いことだと思います。主人公の双葉が中学生時代に先輩たちの演技を見て、それに憧れて入部してくるという展開や同年代の才能のあるチームメイト、ライバルの登場などスポーツものとしては王道という感じで良かったですね。チームのメンバーだけでなく、監督の過去にもスポットが当たったのは評価が高いと思います。作画に関しては体操競技の演技シーンがすごく美しかったですね。モーションキャプチャーの技術を最大限に活かしていたと思います。ただ、全体として展開が余りにもスマートに収まってしまっていて逆に特徴の無い印象を少し受けたのはもったいなかった気がします。

 

トロピカル~ジュ! プリキュア (第1クール)

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 一応放送が2月から始まっていたので便宜的に5/27放送の13話までを第1クール扱いとして分けたいと思います。今年のプリキュアはどちらかと言えばコミカルな路線で、敵も少しギャグ調といった感じがありますね。前作が結構シリアス路線の重めのテーマの回も多かった印象なので、バランスとしては良いと思います。作画もコミカル路線に合わせて、少しギャグ調に寄せつつ、違和感が無いようにしているのは簡単に思えてすごく難しいことだと思います。今作はメインキャラのCVが全員実績のある方なので演技面に関しては全く不安要素がないので安心して見ることが出来ます。プリキュアは基本的にどの作品どの時代でも85点前後のクオリティという一定の基準値になると個人的には考えているので(メインの対象層の女児の方々への普遍的支持を得るためには際どいラインを攻めたり出来ず、安定択を取る傾向になりやすいので)、これ以降の作品は全て85点以上だと考えてください。

 

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになっていました

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 令和に爆誕した最強の萌え萌えアニメーションです。いや、自分はアニメ化決まってキャストの名前に悠木碧さんと本渡楓さんの名前を見たあの日から素晴らしいアニメーションだと確信していましたよ。とはいえ、序盤は別に面白くないので正直1話放送後なんてガチで終わったって思ってましたからね。完全には信じ切れてない部分があってホントにスイマセンでした。この作品は異世界転生設定ではありますが、そこはほとんど不必要な要素で、本質はキャラクターたちの日常とその中に潜む萌え萌え要素です。ごちうさ1期2期とかが近いと思います。毎話ごとに新しい萌えキャラが登場して完全に萌えの大バーゲンセール状態になっていました。そのくせ10話みたいにちょっといい話感出してくる回もあるのはズルいんですよね。制作陣がやりたいこと全部やってやりました感あるのホントに良かったと思います。個人的にはぜひ続編も制作して欲しいアニメの1つです。

 

ゴジラ S.P <シンギュラポイント>

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 ゴジラをテーマにしているということでシリーズファン以外の方はお断りのように一見思える作品ですが、ゴジラについて全く知識が無くても楽しんで見ることが出来ます。自分もゴジラについては全くといっていいレベルの素人ですが、素直に面白いと感じました。SF色に加えて、数学・物理チックな要素もあるので好みがハッキリと分かれる作品ではあると思いますが、作品としてのまとまりを考えるとこのくらいの評価かなといった感じです。考察大好きなタイプの人はめちゃくちゃ面白いと感じると思いますが、戦闘シーンや作画といったアニメーションとしての質を楽しみたいタイプの人からするとゴジラと題しているのにも関わらず、肝心のゴジラは最終版まで出てこないので、想像していた、求めていたものとズレてるなと感じてしまうかもしれません。ゴジラというよりはゴリゴリのSF作品として見るのが丸そうですが、わざわざゴジラでやる必要あったんですか?と聞かれると返答に困ってしまいます。(上手い返しがある人がいたらこっそり自分に教えてください。) 作品としてのクオリティは非常に高いのでゴジラだからといって食わず嫌いしている人はぜひ見てみてください。

 

86 -エイティシックス- (分割第1クール)

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 無人兵器レギオンの存在する世界でレギオンからの侵攻に対抗する為に、86(エイティシックス)と呼ばれる迫害を受けている人々が戦地に駆り出され、勝ち目の無い戦いをする姿を描いた作品。ホントにザックリとあらすじを説明しましたが多分30%くらいしか伝わってないのでぜひ見てみて欲しいです。主人公・シンが率いるスピアヘッド部隊の面々が続々戦死したり、86たちがいかにして迫害を受けてきたかとか、レギオンの材料に戦死した人間の脳が使われているとかといった非常に重い内容がてんこ盛りなので心が苦しいです。もちろんそこが面白い要素ではありますが。また、スピアヘッド部隊を指揮する非86の共和国軍人のミリーゼとスピアヘッド部隊の面々との関わりや周りの共和国軍人との関わりによって、彼女の気持ちや決意が変化していく様も面白い要素です。加えて、レギオンの戦闘シーンも非常に見応えのあるものであり、メカやロボ好きの人も楽しめる作品だと思います。第1クールが非常にキレイにまとまっていたので、第2クールどうなるのかが少々不安ではありますが、期待の出来る作品の1つだと思っています。

 

戦闘員、派遣します!

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 このすば作者の暁なつめ先生のライトノベルが原作のギャグファンタジー作品。制作はJ.C.STAFFということで、現在のJ.C.が最も得意とするであろうギャグ作品というジャンルなので(決して皮肉ではないです)安定感はあったと思います。ノリはこのすばを彷彿とさせる感じで、良くも悪くもしっかりと継承しているという感じです。主人公の戦闘員6号が悪の秘密結社・キサラギ所属の戦闘員であるため、やってることはこのすばのカズマよりもあくどく、直球の下ネタも多いというところがこのすばとの大きな相違点ですかね。いや、天と地がひっくり返っても普通は国のお偉いさんの頭に自分のチ○コ乗っけたりはしないだろ… そのほかの点でいくと、6号以外の主要な仲間が女性キャラなので、萌え要素は結構ありますね。どのキャラもちょっと残念なポイントはありますが、そこが逆に良いと感じる人もいるので難しいところです。総合すると、色々な要素でこのすばよりも人を選ぶ感はあるものの基本このすば系統の作品が好きな人は楽しめる良作だと思います。

 

灼熱カバディ

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 春クールにもいくつかスポーツもの作品はありましたが、この作品が一番見ている人を惹きつけるものがあったのではないかと思います。カバディというマイナースポーツがテーマですが、視聴者側としてもカバディがどのようなスポーツなのかはイマイチ分かっていないので、ルールという点から説明をしてくれるのは導入としてありがたいですね。見ていくうちに、現実でのカバディと比べて再現度等はどうなのかという疑問は出てきますが、どうやらこの作品、サッカーでいうところのイナズマイレブンやテニスでいうところのテニプリ、麻雀でいうところの咲的なノリに近い作品っぽいというのが分かってくるので、そういう楽しみ方ができればOKな感じだと思いました。ストーリーとしてはアニメは地区大会はおろか、練習試合で終わってしまうのですが、今後の宵越たちのライバルとなり得る存在が明らかになっていくといった具合です。タイトルのとおり、灼熱のごとくアツい展開が終始続くので見ていて飽きなかったです。おれたたENDなのはもったいない感ありますが、原作との兼ね合いもあるのでしょうがないところはありますね。最終回のまとめ方にもう一工夫あったらさらに高評価にしていたかなと思います。

 

スーパーカブ

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 バイク×女の子がテーマのアニメです。バイク乗る女の子ってテーマは全く新しいってわけじゃないですけど、この作品は正統派の青春ものって感じでホントに良かったです。主人公の小熊がバイク屋スーパーカブと出会うところから物語は始まり、礼子や椎と関わり、行動を共にすることで少しずつ変わっていく様子を描いています。この作品基本的にめちゃくちゃ雰囲気が良いんですよね。抽象的な感覚になってしまうんですけど、間の使い方が非常に良かったと思います。小熊の声優がYouTuberと聞いて最初不安でしたが、演技の点で気になる部分はなく、小熊のイメージにあった演技になっていて良かったと思います。音楽もすごく雰囲気作りという点で貢献していたと思います。こういう雰囲気重視の素晴らしいアニメって最近は数が少ない気がするのでもっと増えて欲しいと改めて思いました。

 

シャドーハウス

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 設定がホントに難しいかつ新しい作品でしたね。徐々にシャドーとか生き人形とかの設定だったり、シャドーハウス内のルールが明らかになっていき、その過程の中で同時に主人公ケイトの目的が明らかになっていきます。また、もう1人の主人公であるエミリコも生き人形として自分がケイトに何ができるのかということを少しずつ考えていくという成長を描くのも展開として面白かったですね。一見、平穏そうな雰囲気の作品なのに、生き人形の出処やシャドーという存在の秘密など、ダークな部分があるというギャップが非常に興味を唆る作品だと思います。ラストの方はアニメオリジナルの展開で上手いことまとめたらしいですが、まだまだ多くの謎がある状態で終わってしまったので、その辺を考察することでしか読み解けない(正解が何かは不明瞭)感じなのはスッキリはしない締め方だったとも捉えられるかも知れません。考察が大好きな人は絶対に好きなタイプの作品ですが、そういった人は原作を追うのが賢明かもしれません。

 

SSSS.DYNAZENON

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 SSSS.GRIDMAN亜種ということで、続編というと語弊がありますが、同シリーズメディアミックス作品です。グリッドマンと比較すると、ロボットが合体して怪獣と戦うといった、仲間と共に戦うという要素に主軸が強く置かれているのが大きく違うところかなと思いました。グリッドマン仮面ライダーとすれば、ダイナゼノンは戦隊ヒーローって感じなんですよね(この例え伝わりますかね…?)。加えて、仲間とのつながりという点だけで無く、敵である怪獣優生思想の面々やゴルドバーンといった怪獣そのものとの関わりなど、広義の意味で他者との関わり合いというテーマが深掘りされていたなという印象でした。あとは、ヨモギくんとユメちゃんの恋愛要素ということで、二人の微妙な距離感が回を重ねるごとにどのように変化していくのかというところはやっぱり外せない要素だと思います。グリッドマンを見たことある人はこういうのが見たかったんだよとなる作品ですし、見たこと無い人でも充分に作品の世界観を楽しめる良作だと思います。

 

美少年探偵団

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 やっぱり西尾維新って天才なんだなぁ… 西尾維新の作風があまり好きではなくて「物語」シリーズをろくに見たことがない自分ですが、本作は「美少年」シリーズの最初ということもあり、視聴してみました。(逆に「物語」シリーズは多すぎてもう今更後追いする気に中々なれないのです…) キャラの台詞回しといい、演出といい、ありとあらゆるところに西尾維新とシャフトらしさが詰め込まれている作品でした。美少年探偵団の面々が探偵として様々な事件に挑む訳なんですが、事件の真相に美しさを求めるというのがあります。美少年探偵団の団則をしっかりと物語の展開に常に組み込んであるのはさすがの構成力だと思いました。リーダーである双頭院学と彼を支える他のメンバーたちの関係性も描かれていて、他のメンバーたちがリーダーをいかに想っているかということが伝わる内容であるのも良かったと思います。学園物ということもあり、内容はわかりやすく、かつ面白い作品だと感じました。多少個人差による好き嫌いはあると思いますが、「物語」シリーズよりも敷居は高くないと感じたので西尾維新作品を今まで避けていた自分のような人にも是非見て欲しいです。

 

不滅のあなたへ (第1クール)

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 マガジン原作の作品ということですが、ここ最近マガジン原作の作品の盛り上がり方は目覚ましい物があると思います。不死身の存在である主人公・フシが様々な時代、場所の人々と関わっていくことで、多くのことを学び、身につけ、生きていくというストーリーです。第1クールは物語の導入ということもあり、フシが人の姿や言語を獲得したり、母や友人といった自分以外の存在、他者の概念を理解していくといった人として最初に必要となる根幹の要素がテーマとなっていました。また、フシの敵となる存在、ノッカーの登場により、物語により緊迫感が生まれていると思います。獲得した姿や記憶をノッカーによって奪われてしまうことは姿の人物の二度目の死とも言える現象であり、それに対して、フシは強い忌避感を示しており、視聴者目線でも、これまで登場した人たちの姿や記憶がフシから失われてしまうのは非常に悲しいことであるので、感情移入しやすいと思います。不死身であるフシからすれば出会った人たちとの別れは必ず訪れる訳ですが、今のところ特別平穏な別れをした人がいないのも辛いところです。特にグーグーはフシが引き寄せたノッカーによって死んでしまったともいえるので、フシとしてもそうですが、見ている側としても一番辛いところだったと思います。グーグーやリーンたちとの幸せな生活が長くは続かず、自分のせいでグーグーを死なせてしまったという無力感からノッカーを倒す力をつけることを決意し、旅立つところで第1クールは幕引きとなります。大河ファンタジー作品としての色が強い作品であるので、好みの問題は往々にしてあるとは思いますが、作品においてフシという絶対の観測者がいることとフシの体感時間で作品が進んでいくことで、テンポ感もあるのは今の時代に合っていると思いました。展開がゆっくりだと中々今の時代の人は最後もで見てくれないのはあると思うので。第2クールはジャナンダ島編からになるわけですが、この辺りについてはまた次回の機会に書いていければと思います。

 

憂国のモリアーティ (分割第2クール)

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 本当に素晴らしいアニメーション過ぎて、第2クールは終始拍手しっぱなし状態で見てました。2020年秋クールに第1クールを放送した本作ですが、第1クールはウィリアムとホームズの出会いというような物語の土台部分でした。第2クールではその土台をしっかりと活かして見事に物語をまとめています。また、アイリーン・アドラー(ジェームズ・ボンド)を始めとする新たな登場人物の活躍もしっかりと描かれていたと思います。ホームズとワトソンの友情やモリアーティ兄弟の絆という点も注目したい要素ですが、何よりもウィリアムとホームズの関係性というのが本当に素晴らしかったと思います。天才であるが故に他人と分かち合えない部分を分かち合うことができたからこそ、名探偵と犯罪卿という裏表の関係である二人を友人たらしめたということが良く表現されていたと思います。結末も含めて納得の出来でした。もちろん、この作品は原作シャーロック・ホームズシリーズについて何も知らなくても充分に面白い作品ですが、原作についての知識があるとより一層楽しめる要素がふんだんに散りばめられています。第2クールでは特にその性質が強く、大英帝国の醜聞(元ネタはボヘミアの醜聞)や、四つの署名(元ネタも同題)といった原作を元にした話であったり、最後の事件(元ネタも同題)のラストシーンのスイスの滝が映って、行方不明になったウィリアムとホームズが酒屋で会話をしている場面も、原作のモリアーティとホームズの最後の戦いの舞台がスイスのライヘンバッハの滝であることからそれを意識しているのだと思います。こういった、原作の要素も取り入れつつ、モリアーティ側を主人公とし、物語を構成しているのが素晴らしい作品だと感じました。原作の要素も加味するのであればS評価も揺るがないと思いますが、ここではアニメのみで判断するのがルールとしているので、抑えめでこの位置にしておきます。個人的には2021年春クールで最も好きな作品でした。

 

東京卍リベンジャーズ (第1クール)

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 マガジンからの最強の刺客が遂にやってきたって感じですね。不良が出てくる系統の作品は過去にも当然ありますが、そこにタイムリープ要素が加わるのは今までにない系統という印象です。主人公の花垣武道が中学生時代の彼女である橘日向を東京卍會の魔の手から救い出し、その死をなかったことにするために過去と現代を奔走するという王道的ストーリーに、不良がテーマの作品では王道ともいえるグループ同士の抗争や仲間との絆といった、王道中の王道というわかりやすい展開なのが今のトレンドにも合っていると思いました。武道が日向を救うために過去のダメダメな自分と決別し、成長をしていく過程を描いていく王道の流れと共に、過去に起こった出来事の裏には誰が糸を引いていたのかというようなちょっとした謎解き要素も武道の視点で基本的に物語が進んでいくからこそ成立している上手い構成だと感じました。あとは、単純にマイキーやドラケンといったキャラクターたちの生き様がカッコ良く描かれているのも多くの人に支持されるポイントだと思います。第1クールは「8・3抗争」編までということで一度は大きく過去を変えた武道の目の前で日向が死んでしまったことで、武道の決意をより確かな物にさせたというところまでが描かれたのでキリの良い感じで第2クールに移るのも良い感じでした。第2クールの「血のハロウィン」編もめちゃくちゃ面白いんですがそれについては次回の機会にしたいと思います。

 

オッドタクシー

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 事前情報だけではどんな作品なのか皆目見当もつかなかったこの作品。いや、全部見終わった後でもどんな作品だったのかと聞かれると答えるのは難しいとは思うんですけどね。ジャンルとしては群像劇かなとは思うんですけど一口にそれだけとも言い切れないような気もしてます。主人公のタクシー運転手・小戸川を中心として、人々との何気ない会話が繰り広げられる様を描く中で、やがて一人の少女失踪事件に巻き込まれていくという展開です。この作品の大きな特徴としては登場人物が擬人化した動物として出てきています。これにはついては特に説明がなく話が始まっていくので、視聴者側としてはそういう世界観なんだとバイアスがかかって見ている状態になります。物語が進むにつれて、どうにもおかしいことに視聴者も気づくように仕掛けがされている訳なのですが、それについては是非本編を見て確認して欲しいなと思い、ここでは書かないことにします。群像劇ということもあり、ド派手なアクションだったり、壮大な作画の見せ場シーンがあるわけではないですが、物語の面白さだけで言ったら2021年春クールトップだったと思います。あくまでもアニメというジャンルで見た時に話がめちゃくちゃ面白いから一番のアニメという訳にはいかないと思っていますが、この作品に関してはアニメとか関係無しに一つの作品として見て欲しいと思いました。個人的にはラストのシーンは皮肉が効いてて好きです。

 

S(90点~)

Vivy -Fluorite Eye's Song-

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 ストーリー、作画、音楽、どれをとっても文句なしの出来で総合力でこの評価です。ストーリーとしてはAIと歌にタイムリープ要素を加えたSF物というジャンルで言ってしまえばどれも使い古された要素ではありますが、しっかりとした構成で、しっかりとした作画でアニメを作っていけば結局は名作になるということを改めて体現した作品だと思います。物語は100年後のAIによる人類の抹殺を阻止するべく「シンギュラリティ計画」の実行という目的の下、主人公のAI・ヴィヴィと100年後の未来からやってきたAI・マツモトがコンビを組んで計画を遂行していくという話です。そこにヴィヴィに与えられた「歌でみんなを幸せにする」という本来の使命であったり、100年という時間の中で出会うAIたちと向き合うことで「心を込める」とは何かということを探していくのがもう一つのテーマとなっています。AIの人類に対する反乱とタイムリープで歴史を変えるというわかりやすい要素を抱えつつも、歌うAIの葛藤という要素を織り交ぜることで物語の展開を予測しづらいものとしていたのが良かったと思います。この手の設定は使い古されているのである程度最後の展開が予想できてしまうわけですが、そこに至るまでの過程をどのように描くかで結末の重みが大きく変わってくると思うので、そういった点でいけばすごく良かったと思います。加えて作画という点でも近年希に見るトップクラスのもので、戦闘シーンの動きの滑らかさや、ヴィヴィにアップで寄った時の眼球の内部まで精密な機械仕掛けになっていることが分かる細かな書き込みなど、芸術的な作画だったと思います。今作のテーマの一つでもある音楽という点に関してはOP・ED共に作品の内容にリンクしており、ヴィヴィの旅路を彩る美しさが表現されていたと感じました。全ての要素が合わさった結果として素晴らしい名作となっており、アニメはやはり総合芸術なのだと感じさせられた作品でした。

 

ゾンビランドサガ リベンジ (2期)

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 2021年春クールトップはやはりこの作品が相応しいと言えるでしょう。1期も超が付く名作でしたが2期も歴史に残るレベルの名作でしたね。ストーリーに関してはもちろん面白かったですが何よりも1期で散々上がったハードルをしっかりと超えてきたのもすごかったと思います。特にゆうぎりさんの個別回が満を持してきたのが良かったですね。彼女の生前に起きた過去の佐賀での出来事なども現代に繋がっていたと明らかになったのもこの回には特別感ありましたね。他にも愛ちゃんと純子ちゃん回でのアイアンフリルとの絡みとかも今後の2人の生き方や決意の表れだったのですごくポイント高いです。後はたえちゃん回もたえちゃんがフランシュシュ0号として関わってきた人たちと過ごす日常が描かれていました。1期のテーマがフランシュシュの面々の過去や生前の自分というところにあるとすれば、2期のテーマは彼女たちのこれからの生き方というところにあると思います。そういった要素が各回でしっかりと描かれていたのでテーマの一貫性も伝わってきました。最後のライブも何から何までめちゃくちゃ出来が良くてホントに文句なしでした。後世に語り継がれるべき作品の1つだと思います。

 

 

 

 以上で2021年春アニメ感想の後半戦も終了です。全体の総評としてはここ数年アニメ全体での面白さ・クオリティのレベルが上がっている傾向にある中で、その中でも一際突出して豊作と言えるクールだったと思います。A以上の作品だけでも19作あるので(自分が見てる数も多かったのはありますが)、数字にも表れていると思います。これを書き終わったのが8月になってからだったのはかなり怠けている感あるので、常日頃から計画的にアニメを見るのがこの夏の個人的な目標かなと思ってます。

 次回はアニメ関係の記事だとおそらく2021年夏クールアニメ感想の前編か2021年度上半期過去作・映画枠の感想になると思います。他にもゲーム関連でいくつか予定してるものもあるので興味があれば読んでください。